日本書紀・古事記・万葉集など日本の古い書物の中に出てくる「シラタマ」とは何のことかわかりますか?
「あんみつ」とか「ぜんざい」の中に入っているふわふわのおもちではありませんよ。
「シラタマ」又は「マタマ」とは「真珠」のことなのです。
魏志倭人伝にも登場しています。教科書で習いましたよね。そんな古い時代から真珠は存在するのです。
古くは縄文時代の貝塚から発見されたり、奈良時代に建てられた正倉院にも4000個以上の真珠が宝物として継承されています。
そんなロマン溢れる「シラタマ」は日本のみならず、世界中の人びとから愛されている宝石なのです。
もちろん古い時代には養殖の技術がありませんでしたので、全て天然真珠な訳です。それもまたロマンですね。
しかし、今では養殖の技術が進み、消費者には分かりにくい開示されない人的加工も施されています。国際的なルールもまだまだ完全ではありません。
人の心を魅了する美しいシラタマは自然本来の姿だけ見せているとは限らないのです。
この記事でわかること
1.真珠(パール)の指輪の価値について
おばあ様やお母様が身に着けていた品のある綺麗な真珠(パール)を印象的に感じる人は多いのではないでしょうか。
多くの人が冠婚葬祭に身に着ける事で、ダイヤモンドよりも身近に感じるジュエリーなのかもしれません。
幼いころから見てきたおばあ様やお母様の真珠(パール)の指輪やジュエリーをいくつか譲り受けた人も多いでしょう。確かに譲られたことは嬉しいけれど「価値」が気になるところです。
例えば、買い取り店で査定してもらった場合、買取価格で値がつきやすい指輪は天然であることはもちろんですが、その他に真珠(パール)の巻き、色、光沢(テリ)、形、大きさ、傷等の質が大切になります。
しかし、「ミキモト」や「田崎真珠」といったブランドの指輪の方がノーブランドよりも高い買取になる場合があります。
また、真珠の中でも高値がつくのは、コンクパールというカリブ海に生息している貝から取れる大変希少なピンクからオレンジがかかった色の真珠(パール)です。
特に濃いめのピンクの色のコンクパールとダイヤモンドがセットされている指輪は、数十万から数百万で販売されています。中古でも数十万で販売されています。
指輪の場合、コンクパールの品質とダイヤモンドの品質だけではなくデザインも重要になります。これはコンクパールに限らずアコヤ真珠(パール)など他の真珠の指輪にも言えることです。
買取店の視点からすると素材の品質はもちろんですが、それと同じようにデザインが古くなく、今でも多くの方が身につけたいというデザインであるかが大切なようです。
ただし、買い取り店では真珠(パール)自体は買い取らないところもあります。だからと言って価値がないということではありません。
どうしても値がつくものに価値があると考えがちですが真珠(パール)の指輪の価値=買取価格ではありません。
特別な思いが込められている真珠(パール)の指輪によっては買取価格では表せない価値があります。
2.真珠(パール)の種類
真珠(パール)といえばアコヤ真珠(パール)が一番知られています。
アコヤの他にも白蝶貝から採れる白蝶真珠(パール)、黒蝶貝から採れる黒蝶真珠(パール)淡水真珠(パール)などの種類があります。
真珠(パール)の種類によっても真珠(パール)の価格的価値は変わります。どの種類の真珠(パール)でも自分が素敵だと思う指輪に出会いたいものです。
巡り合えばあなたにとってとても価値のある真珠(パール)の指輪になることでしょう。
真珠(パール)に限らず宝石やジュエリーの出会いは大切な人との出会いに似ています。
あなたにとって大切な人。あなたにとって大切な真珠(パール)の指輪。どちらも選んだあなたにしか分からない出会いです。
その大切な出会いこそとても価値のある出会いになるかもしれません。
素敵な出会いの為にも、どんな種類の真珠(パール)があるか知っておくともっと楽しいかもしれませんね。
2-1【あこや真珠(パール)】
日本人にとって真珠(パール)の中で一番馴染みのあるあこや真珠(パール)は日本近海に生息しているあこや貝から採れます。多くのあこや真珠(パール)は日本で採れたものが取引されています。
よく冠婚葬祭で身に着けられているあこや真珠(パール)は、だいたい直径が6mmから8mmのものです。
冠婚葬祭にはその大きさが丁度いいサイズでもありますが、良く採れるサイズでもあるのです。
9mmを超えるサイズの良質なあこや真珠(パール)は稀少です。
また、あこや真珠(パール)の中でも「花珠」という称号がついているものがあります。
「ある一定の基準を満たしたとても品質のいい真円で無傷のあこや真珠(パール)」となっていますが実は必ずしも上質の真珠(パール)であると保証されているわけではありませんので注意が必要です。
2-2【白蝶真珠(パール)/南洋真珠(パール)】
あこや真珠(パール)よりもひときわ大きく輝くまん丸の白い真珠(パール)です。
白蝶貝から出来る白蝶真珠(パール)は、暖かい海のオーストラリアやインドネシアで主に産出されています。南洋真珠(パール)は、白蝶真珠(パール)と同じです。
内側の真珠層により色が白寄りかゴールド寄りと分かれます。白寄りの真珠(パール)の事をシルバーリップと呼び、ゴールド寄りの真珠(パール)の事をゴールドリップと呼びます。
白蝶貝から出来るので珠のサイズも大きく、品質のいい真珠(パール)には高級感や品を感じられます。大人の女性の手元を華やかにするにはぴったりのアイテムです。
白蝶貝は貝自体が大きい為に大きな真珠(パール)が産まれるので白蝶真珠(パール)は10mm以上の大きな真珠(パール)が多いのです。
直径が大きい為、白蝶真珠(パール)が一粒セットされた指輪はワンポイントアクセントになりおしゃれをより際立たせてくれるアイテムにもなります。
2-3【黒蝶真珠(パール)/ブラックパール】
黒い輝きを放つ黒蝶真珠(パール)はブラックパールとも言います。
黒蝶真珠(パール)の色のレンジはとても広くグレーがかった黒から赤みのあるグリーン。赤みのない深みのある黒などがあります。
その輝きは見ていると吸い込まれてしまいそうな魅力があります。
黒蝶真珠(パール)の中でもピーコックグリーンと呼ばれるものは稀少です。まるで孔雀が羽根を広げた時のような鮮やかなグリーンの色合いの輝きを放つ真珠(パール)です。
多くの黒蝶真珠(パール)はタヒチの黒蝶貝から産出されています。また、黒蝶真珠(パール)は日本の沖縄でも養殖されています。
白蝶真珠(パール)同様、黒蝶貝から採れる黒蝶真珠(パール)も大きめの真珠(パール)が多く、メレダイヤ(小さいダイヤモンド)と一緒にセットされているデザインの指輪が多いです。
また、バロックやドロップといった真円だけではない形も人気です。
2-4【淡水真珠(パール)】
淡水真珠(パール)は我々日本人にとってあこや貝と同じように馴染みのある真珠(パール)ではないでしょうか。
その多くは中国で養殖されていますが、日本では琵琶湖などで養殖されています。
淡水真珠(パール)は海ではなく川や湖で出来るのも特徴の一つです。貝の種類もイケチョウ貝やヒレイケチョウ貝からとれます。
淡水真珠(パール)の指輪はあこや真珠(パール)よりも価格がリーズナブルなので普段使い用の指輪に購入される方も多くいます。
2-5【その他の真珠(パール)】
その他にも、マベ貝から出来る半円の形をしたマベ真珠(パール)やピンクの色合いが素敵で希少価値の高いコンクパール、独特な形をしたケシ真珠(パール)もあります。
また、メロメロ貝から採れるメロ真珠(パール)があります。この、メロメロ貝は台湾、インドネシア、ベトナムで主に食用として食べられていてメロ真珠(パール)は副産物になります。
真珠(パール)の指輪1つとっても種類により色や型、大きさが違うので身につけていく場所や合わせるお洋服を考える楽しみが増えますね。
3.真珠(パール)の色の種類
真珠(パール)の色を聞くと大概の方は「白」とお答えになるのではないでしょか。
真珠(パール)には白以外にもピンクやゴールド、ブラック、グレー、黄色に近いクリーム色などあります。
そんな真珠(パール)の色の魅力は、白い真珠(パール)でも良く見るとピンクがかっていたり、グレーがかっていたりします。天然の色の真珠(パール)はその光沢に魅せられ惹きこまれてしまいそうになります。
しかし、実は商品になった時に天然の色を目にしていることは少なく、真珠(パール)の多くは調色や染色など、色を人工的に変えています。必ずしもナチュラルであるとは限りません。
もちろん、人の手が入ることで真珠(パール)の商品としての寿命が伸びたりと必ずしも悪いことばかりではありませんが、程度の問題です。購入時はきちんと説明を受けましょう。
4.真珠(パール)の主な産地
真珠(パール)の主な産地は真珠(パール)の種類によって異なります。
真珠(パール)はダイヤモンドやサファイヤなど他の鉱物とは違い、生きている貝から出来ます。生物から作られる鉱物というとても神秘的なものです。
生物だからこそ、その環境に適した貝が出来、違う種類の貝が出来ます。
基本的にはオーストリア、インドネシア、フィリピン、タヒチ、中国、日本など暖かい地域で真珠(パール)は誕生します。
4-1【日本】
日本での真珠(パール)の養殖は20世紀になってからされました。
真珠(パール)の養殖生産地は愛媛県、長崎県、三重県などです。
あこや真珠(パール)と聞くとミキモトや田崎真珠の綺麗な真珠(パール)を思い浮かべる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ミキモトの輝く多くの真珠(パール)は三重県鳥羽湾内にあるミキモト島で出来ているのは有名な話ですね。
日本では、あこや真珠(パール)以外にも白蝶真珠(パール)やマベ真珠(パール)が養殖されています。
白蝶真珠(パール)は赤道を中心とした熱帯の海にしか生息しません。日本では暖かい地域の奄美大島で養殖されています。
同様にマベ真珠(パール)も暖かい地域で生息するので奄美大島から沖縄にかけて見られます。
また、1914年に沖縄県石垣島で黒蝶真珠(パール)の養殖の試みが始まりました。成功にいたるまではおおよそ60年の長い年月がかかり量産ができるようになりました。
4-2【海外】
熱帯や亜熱帯といった暖かい赤道付近に白蝶真珠(パール)や黒蝶真珠(パール)などの貝が生息しています。
白蝶真珠(パール)はオーストラリア、インドネシアが全体の90%を産出してますが、他にもタイ、フィリピン、ミャンマー、日本でも産出されています。
黒蝶真珠(パール)はニューカレドニア、クック諸島、日本から産出されていますが、タヒチが全体の90%を占めています。その為タヒチ黒真珠(パール)とも言われています。
5.真珠(パール)についてのあれこれ
我々人間と真珠(パール)の関係はとても古くから続いています。
日本書紀、古事記、万葉集に「シラタマ」「アワビタマ」「マタマ」の呼び名で載っています。
もちろん日本だけにとどまらず、古代インドの神話や旧約聖書や新約聖書にも真珠(パール)の話は出てきています。
そんな真珠(パール)の事をThe Book of The Pearlの著者クンツ博士は「自然のままで、その完璧な美しさを誇る真珠(パール)は人類が最初に出会った宝石である」と載せています。
また、古代ローマ人は真珠(パール)の事を「月のしずく」と呼んでいたりと真珠(パール)に魅せられた人は多くいたことがうかがえます。
真珠(パール)はダイヤモンドやサファイアなどの鉱物と違い貝から取り出された時からそのままで綺麗な輝きを持っており長い間多くの人を虜にしてき事がうかがえます。
6.真珠(パール)の石言葉
大昔に富と地位のシンボルとされていた真珠(パール)は6月の誕生石です。
そんな真珠(パール)の石言葉は「健康、無垢、長寿、富」です。生きていくうえで必要で誰もが大切にしたいと願っている事ですね。
女性は冠婚葬祭以外にも真珠(パール)の珠が1粒セットしてある指輪や小さいダイヤモンド(メレダイヤ)が周りにセットしてある指輪などおしゃれの一部として身につけて楽しむ事が出来ますね。
男性は、指輪やネックレスといったジュエリーとして身につけるのは抵抗があったり難しいかと思いますが、ネクタイピンやカフスボタンなどで楽しむ事ができます。
または、真珠(パール)を守り石として持っておくのもいいですね。そして健康や長寿を願って周りの方に真珠(パール)の指輪をプレゼントしてもいいかもしれません。
ご自身の周りにいる方の幸せがあなたの幸せに繋がるかもしれません。
7.保存方法や注意点などアドバイス
天然真珠(パール)の指輪の保存方法は乾燥した所で保存をしない事です。
天然真珠(パール)の保存には多少の湿度が必要です。もし乾燥をしている所で保存をしている場合、軽く湿らせた柔らかい布などで真珠(パール)の珠を拭いてあげましょう。
また、ご使用後は、水拭きをしてから乾いた布で軽く拭いて風通しの良いところにかけておきます。その後他のジュエリーとあたらないようにしまいましょう。
身に着ける際の注意点は真珠(パール)の指輪を身に着けたまま家事や化粧、ヘアセットなどを行わないように注意しましょう。
真珠(パール)はヘアースプレー等の成分が苦手な為、経年劣化を早める原因にもなります。
綺麗な真珠(パール)の指輪を末永く楽しむ為にも身支度の最後の仕上げに真珠(パール)の指輪やジュエリーを身に着けましょう。